いま中東は「大戦」と呼ぶほどの戦乱状態にある。米軍とイランなどが過激派「イスラム国(IS)」掃討作戦を展開、イエメンなどで国家破たんが相次ぎ、中東全域で戦闘やテロが発生しているのだ。他方、欧米など6カ国はイラン核問題の枠組み合意にこぎ着けた。
 まず、イランの核問題だ。米国、日本など先進7カ国(G7)は先の外相会議で、従来の対イラン政策を大きく転換していたことが分かった。
 これまでイランは、制裁対象として西側から非難される一方だった。だが、今回のG7議長声明はイランに対して「責任ある建設的な役割」を担い、「積極的に貢献すること」を強く求めているのだ。
 シリア内戦の政治的解決、イラクにおける和解への貢献、イエメンの当事者間の対話などを促進するようイランに支援を要請している。
 だが、これによって、事態はさらに複雑化した。イランが国教とするイスラム教シーア派勢力とサウジアラビアなどのスンニ派の対立が先鋭化し、イスラエルはイランへの警戒姿勢を一層強めているのだ。
 そんな混乱に輪をかけるようにして、米国とイスラエルが同盟国同士の醜悪な情報戦争を展開している事実が明るみに出た。

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