ヒラリー・クリントンの行手に広がり始めた暗雲

執筆者:リンダ・フェルドマン2008年3月号

[ワシントン発]ベトナム戦争のヒーロー、ジョン・マケイン上院議員(七一)が、共和党の大統領候補に指名されることは、ほぼ確実だろう。 だが民主党はといえば、三十二州での予備選挙や党員集会を終えても、ヒラリー・クリントン(六〇)とバラク・オバマ(四六)両上院議員は互いに譲らない死闘を繰り広げており、指名の行方は四月、あるいは党全国大会が開かれる八月の終わりまで決まらない可能性が出てきた。二月五日のメガチューズデーの結果は、かつてない接戦だった。オバマは二十州のうち十三州で勝ったが、総得票数はともに約七百三十万票。党大会で指名決定投票を行なう代議員の数も、二月九日のルイジアナ、ネブラスカ、ワシントン州、十日のメーン州でのオバマの勝利分を加えると、差はほとんどない。 ただ、この先の状況をみると、クリントンの側にいくつかの不安材料がある。集金力でオバマに劣るクリントンは、自己資産から選挙運動に五百万ドル(約五億三千万円)を拠出せざるを得なかった。資金集めのテコ入れはできたが、オバマはそれを上回る勢いで資金を集めている。苦境を反映するように、クリントン陣営の選対主任だったパティ・ソリス・ドイルが二月十日辞任した。

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