11年前の2004年4月22日、中国国境に近い北朝鮮平安北道・竜川駅で起きた、列車の大爆発。爆発威力はマグニチュード3.6の地震規模に相当し、161人の死者が出た。
 正確な負傷者数は不明だが、1000人以上で、駅から200メートル離れた竜川小学校で76人もの小学生が死亡したとも伝えられた。
 2日後の北朝鮮の発表だと、硝酸アンモニウム肥料を積んだ貨車と石油タンク列車の入れ替え作業中に起きた事故とされている。だが、その驚異的な爆発規模から事件性を疑う見方も強かった。そもそも、爆発規模はTNT火薬換算で推定0.8キロトン級もあったというのだ。
 注目されたのは、訪中した金正日総書記(当時)が同駅を通過した約9時間後に爆発が起きたこと。総書記を狙ったテロとも報道された。当時の北朝鮮鉄道相が総書記の列車の通過予定時刻を漏らしたという疑いで処刑された、との情報もあった。また、携帯電話を使って起爆装置を作動させたとみられることから、北朝鮮当局は携帯電話の使用を全面禁止した、とも伝えられた。しかし、テロ説を裏付ける証拠などはいまだに示されていない。
 ところがこのほど、インテリジェンスに詳しい著名な英ジャーナリスト、ゴードン・トーマス氏(83)が、『ギデオンのスパイ-モサドの秘史』(Gideon’s Spies:The Secret History of the Mossad)の新版で、イスラエル対外情報機関モサドとの関連を指摘し、新たな脚光を浴びている。
「ギデオン」とはイスラエルの歴史上の英雄の名前。この著書は初版発行が1995年で、トーマス氏は新しい情報を入手するたびに書き足すところがユニークと注目され、今回で第7版となった。

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