政府が6月末に決める財政健全化計画を巡る経済財政諮問会議での議論が佳境を迎えている。安倍晋三内閣は2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を掲げているが、その達成方法を巡って、諮問会議の民間議員と財務省などの間で綱引きが激しくなっている。

「経済再生」と「財政再建」はともすると相反する。国民の負担を増やして消費が落ち込めば経済成長は鈍化し、税収も落ち込んでしまう。かといって、経済成長を旗印に公共事業などに大盤振る舞いしても、その分税収が増えなければ財政は悪化する。この「経済再生」と「財政再建」をどうやって両立させるか。根本的な思想の違いが表面化しているのだ。

 

「国民に痛みを求めることばかり」

 伊藤元重東大教授らの民間議員は、アベノミクスによってようやく見え始めた経済成長の芽をつぶさないように、経済成長や税収増につながる歳出はなるべくカットせず、歳出の枠組みを大胆に変えることで歳出を抑制すべきだと主張している。これに対して、財務省は従来の手法を前提に、一律に近い形で大幅な歳出カットを進めるべきだという立場を崩していない。

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