5月20日、インドネシア政府は、違法操業をしていたとして拿捕した外国籍の漁船41隻を爆破して沈没させた。昨年10月に発足したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権は、IUUと略される「違法(Illegal)、無報告(Unreported)、無規制(Unregulated)」漁業の取締りを強化している。違法操業船に対する爆破沈没の措置は、この政策の一環である。政府は、ベトナム、タイなどの送り出し国から強い懸念が表明されているにもかかわらず、12月以降数度にわたってこの措置を断行してきた。

 今回の爆破措置の対象には、ベトナム、タイ、フィリピンなどに加えて、初めて中国船籍の漁船が含まれていた。そのため、インドネシア政府の中国に対する姿勢に変化が生じたのではないかとの報道も見られた。しかし、それはあまりに短絡的な見方である。

 なぜなら、船を爆破するというのは強硬な措置ではあるが、あくまでも当局の捜査と司法手続きを経た上で行われる合法的なものであり、送り出し国によって扱いに差をつけることは難しい。また、外国船による違法漁業には、必ず国内にカウンターパートとなる企業が存在しており、船の送り出し国だけを対象とした措置ではない。そして、違法操業の取締りを主管するスシ・プジアストゥティ海洋・漁業相自身が、中国漁船に対する裁判所の軽微な判決に対して怒りを露わにしていた1人だからである。

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