5月29日、不適切会計問題で2度目となる謝罪会見の冒頭、頭を下げる東芝の田中久雄社長(東京都港区の同社本社)(C)時事

 連結売上高6兆8500億円(2015年3月期予想)の巨大企業『東芝』が、28年前の「ココム(対共産圏輸出統制委員会)違反事件」以来の深刻な危機に直面している。証券取引等監視委員会(SESC)への内部通報で発覚したインフラや半導体分野の「不適切な会計処理」で、一時は上場廃止の観測も飛び交い、例によって財務当局と東京証券取引所の“お目こぼし”で最悪の事態を免れたのも束の間、今度は海の向こう米国で株価急落に対する損害賠償訴訟の準備が始まった。非常事態に際して、2年前の就任以来、存在感のなさを指摘され続けてきた社長の田中久雄(64)は右往左往するばかり。4代前の西室泰三(79)以後の歴代社長が未だに「わが物顏」で社内を闊歩する旧態依然の序列意識が、「無責任」の経営風土を醸成してきたといえる。

 

詳細な「内部告発」で発覚

「隠し続けてきた“会社の劣化”が一気に露見してしまった」

 東芝の電力・社会インフラ部門のある中堅幹部は、「不適切会計」発覚の第一報を耳にした時、こう思ったという。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。