5月29日にナイジェリアで大統領就任式典が挙行され、3月28、29日の大統領選で当選した「全進歩会議(APC)」のムハマンド・ブハリ氏(72歳)が民主化後4人目の大統領に就任した。ナイジェリアにおける政権交代の歴史的な意義については、平野克己さんが「アフリカの部屋」の5月8日付記事「ナイジェリア『予想外の平穏な政変』の深い意味」で解説してくれた。ブハリ新大統領はこれから2019年5月までの4年間の任期中、ナイジェリアのかじ取りにあたる。

 ナイジェリアは、1国でサブサハラ・アフリカ49カ国全体のGDP総額の約35%を占める経済大国であり、言わずと知れたアフリカ最大の産油国だ。今世紀に入って以降のサブサハラ・アフリカの経済成長は、原油輸出量の増大と原油価格の高止まりに牽引されてきた面があり、ナイジェリアの経済成長は、その象徴でもあった。

 

ナイジェリア石油産業の二重苦

 しかし今、ナイジェリアの石油産業は大きな転期を迎えている。2015年のナイジェリアの産油量は日量227万バレルが見込まれているが、ナイジェリア政府が昨年、自国の国内総生産(GDP)を再計算してみたところ、それまでGDP総額の4割以上を占めると思われていた石油産業は、実はGDP総額の13~14%程度に過ぎないところまで地位を下げており、金融等のサービス産業がナイジェリア最大の産業分野に成長していたことが分かった。

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