労働者の二重派遣事件の関係先として、一月に警視庁の家宅捜索を受けた人材派遣大手のグッドウィル・グループ(GWG)。メインバンクのみずほ銀行は、GWGの中核企業であるグッドウィルへの貸出債権(約九百億円)売却を検討し始めた。 グッドウィルとみずほ銀とのつきあいは旧第一勧業銀行時代にまで溯るが、融資額が膨らみすぎ「グループ内でもグッドウィルとの“親密すぎる関係”が問題になってきた」(みずほ銀幹部)ことから、債権を売却し関係を断ち切る動きに出たのだ。 このいわくつきの債権に興味を示しているのが、ゴールドマン・サックスなど外資系ファンド数社。狙いは「日本への本格進出を狙う米マンパワーや人材派遣世界最大手アデコ(スイス)などへの転売」(大手投資銀行幹部)だ。日本市場は派遣だけで約四兆円と米国に次ぐ規模を誇る。製造業への派遣が解禁されるなど市場開放も進みつつあり「世界で最も期待できる成長市場の一つ」(アデコ幹部)と、海外大手の進出気運は強い。 外資系ファンドは、みずほ銀のほか厚生労働省などへの根回しに動き出したという。グッドウィルと縁を切りたいみずほ銀にとっても、引き受け手の出現は渡りに船。厚労省にしてもグッドウィルの破綻による登録派遣社員の混乱は避けたい。沈黙を守り、返り咲きを夢見る折口雅博元会長の思惑とは裏腹に、グッドウィルはその手から離れつつある。

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