大阪府知事選への戸惑い

執筆者:2008年3月号

 大阪の府知事選挙で大勝した陣営で選挙を仕切ったのは、お笑いの世界では「爆笑問題」などを手がける有名な芸能プロダクションだった。弁護士なのかタレントなのか、どちらでもあり、どちらでもないような候補者に徹底的に「まじめ」なイメージを植えつける作戦でのぞんだ。茶髪を黒に戻し短くした。メガネをまじめなサラリーマン風のメタルフレームにした。芸能人の応援は避け、政党色も薄めて無党派ねらいの選挙に徹した。 自民党は党本部が前面に出ずに府連推薦、公明党府本部が支持。一応は、幅広い層の支持を期待したため、という説明ではあったが、負けた場合に福田政権の基盤が揺らぐことを嫌ったためであることは明白だ。学者候補に圧勝したそのタレント(?)知事、いや、もう「シモネタは封印」といっているからタレントでないのかもしれないが、当選後早速、関西財界団体回りをしていた。偶然、見かけたのだが、大阪の大物政治家の後ろから、まるで秘書のようにして付いていた。 ああ、結局は自民党知事なんだ、と妙に納得したが、やはり大阪はすごい。パンパカパーンとかいってタコのマネをするのがどこか哀愁に満ちていた名物知事のセクハラ事件の記憶もすっかり薄れたのか、さすがにお笑いの聖地である。このタレント、いや弁護士知事がどの程度の人物かもちろん知らない。だから個人攻撃をしようなどとは思わない。

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