「ケータイが命」の学生や、ディズニー好きの女性を引き寄せろ――利益率など無視してシェア拡大に走る戦略の当否は……。 ソフトバンクモバイルの勢いが止まらない。参入前に「端末、基地局、販売網の充実」という目標を掲げていたが、それにメドがついたいま、次の課題として料金とコンテンツでの差別化を進める。小規模企業のメリットを生かし、採算度外視の低価格攻勢でライバルを引き離す。さらに、追い風になっているのは総務省の携帯電話市場自由化政策。同省は業界活性化のために、新規参入を促す政策を次々と打ち出しているが、チャレンジャーであるソフトバンクには有利に働く。業界春の商戦に向けて、台風の目となっている。「本当にまずい。社内でも焦りが広がっている」とは、昨年前半まで純増数(契約者から解約者を差し引いた数)でトップの座を守り続けてきたKDDI。常勝の歯車が完全に狂い始めている。 きっかけとなったのは二〇〇六年十月からスタートした番号持ち運び制(MNP)だ。当初、草刈り場になるのはNTTドコモとソフトバンクだと目されていた。しかし、MNP開始に合わせてソフトバンクは月額基本料九百八十円という圧倒的な安さのホワイトプランを投入。ふたを開けると〇七年の純増数(〇六年比)はソフトバンクが五・六倍になったのに対し、ドコモは半減して一人負けの状態となった。

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