連日新聞・雑誌の紙面をにぎわす東芝の「不適切会計」ならぬ「粉飾決算」問題。歴代社長の引責辞任が決まったことで「不適切」どころでは済ませられなくなった。経営改革を迫られるのは当然のことだが、それ以上に深刻なのは事業の再構築。粉飾までやって利益を操作しなければならないほど弱体化した収益力をいかに回復させていくのか。“べったりの関係”といわれる経済産業省をはじめ、首相の安倍晋三(60)や官房長官の菅義偉(66)ら「東芝ファン」が多いとされる官邸などが陰に陽に支援の手を差し伸べるとみられるが、連結売上高が6兆円を超え、収益に占める海外比率が6割近い巨大電機メーカーを官公需で支えられるわけもない。焦点の1つは、2006年に54億ドル(当時の為替レートで約6400億円)で買収した米原子力プラント大手「ウエスチングハウス(WH)」の行方である。

 

世界で進む「脱原発シフト」

「最初に『東芝で会計スキャンダル』と耳にした時、てっきり原発絡みの減損の話と思った」(電機担当の証券アナリスト)

 今年5月8日、東芝がインフラ関連事業の工事進行基準について「原価総額が過小に見積もられていた」ことを明らかにし、問題究明のため元東京高検検事長の上田広一(71)を委員長とする第三者委員会を設置すると発表した直後、アナリストや経済ジャーナリストたちの間から一斉に「火ダネは原発事業ではないか」との観測が飛び交った。

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