おかしな事件が起こった。7月10日、中国遺跡観光ツアー客(南アフリカ人10名、イギリス人9名、インド人1名)が、内モンゴルのオルドス空港で官憲によって拘束された。容疑は、ホテルの部屋でテロ組織の宣伝ビデオを観ていたということだったらしいのだが、中国当局は明らかにしていない(釈放された後に同人達は「チンギス・ハーンのドキュメンタリーを観ていただけだ」と言っている)。このなかに、南アフリカの通信会社『ヴォダコム』社のCEO(最高経営責任者)シャミール・ジュスブ氏の近親者がいて、連絡を受けたジュスブ氏がAP通信にメールを送ったため、15日には南アフリカ、アメリカ、イギリスのメディアがこのニュースを伝えた。

 ジュスブ氏はあわせて危機管理の専門家に介入を依頼。この専門家は、ちょうど北京を訪問中だったシリル・ラマポーザ南アフリカ副大統領に接触を図ったことから、ラマポーザ氏が北京での記者会見でこの件に触れ、「事態は解決に向けて動いている」と語ったことも報じられた。

 17日、中国政府から説明が一切ないまま、ツアー客全員が釈放された。

 

ウエスチングハウス社

 先月訪日をドタキャンしたラマポーザ副大統領(2015年7月2日「幻に終わった『南アフリカ副大統領』の日本訪問」参照)は、このときなぜ北京にいたのか。彼は13日に北京入りし、14日には李克強首相と面談している。観光客一行が帰国の途に就いた17日まで、中国に滞在していた。

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