自転車に関する規制強化を内容とする改正道路交通法が2015年6月から施行された。
 規制強化といっても、新たな禁止行為が追加されたわけではない。「信号無視」や「通行区分違反」など従来から禁止されていた14項目の危険行為をして、2回以上警告を受けると「自転車運転者講習」(手数料5700円を払って、3時間の講習を受ける)が義務付けられる、という内容だ。

 筆者自身は日常生活で自転車をあまり利用しないが、車の運転中や歩いているときに暴走気味の自転車に接触しかけてヒヤリとした経験は何度かある。今回の法改正で、ルールが改めて周知・徹底されることは、基本的に良いことだと思う(特に東京都心の歩道では、自転車優先と勘違いしている自転車利用者に出くわすことが少なくなかったが、ここ数週間、規制強化のおかげなのか、多少沈静化しているような気がしなくもない。気のせいかもしれないが……)。

「イヤホン」は許されるのか?

 そのうえで、本稿では、今回の規制強化で改めて示された、規制全般に関わる問題点を整理しておきたい。
 規制には、交通、医療、農業、労働など、さまざまな分野で共通して抱えている構造的な問題がいくつか存在する。今回の一連の動きの中で、こうした問題のいくつかが、身近に分かりやすい形で浮かび上がった。

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