東芝の粉飾決算問題を2カ月余りにわたって調査してきた第三者委員会(委員長=上田広一・元東京高検検事長)は7月20日、利益操作の期間が2009年3月期から7年間に及び、その金額は計1562億円に上るとの報告書を提出。受理した東芝は翌21日、その間に在任した3人の歴代社長がそろって同日辞任したと発表した。8月末までに確定する予定の2015年3月期決算では「半導体やパソコン事業などで計700億円規模の減損損失を計上する可能性がある」(7月21日付日本経済新聞朝刊)との報道もあるが、その程度の修正なら「社内はパニックにならないし、株価も反発するはず」と長年の東芝ウォッチャーである外資系アナリストは指摘する。財務のプロたちの関心の的は粉飾決算の背景にある、膨れ上がった「のれん代」や「繰り延べ税金資産」の行方と、その先に控える“債務超過危機”である。

 

金融危機時のメガバンクと同じ

 辞任した社長の田中久雄(64)と留任して暫定的に社長を兼務する会長の室町正志(65)が並んで記者会見し、「グループ20万人の従業員にけじめを示す」と宣言した日から3日後の24日、東芝はメガバンク3行をはじめ90を超す取引金融機関を対象にした説明会を東京・芝浦の本社で開いた。

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