中国版「リーマン・ショック」の危険度

執筆者:青柳尚志2015年7月29日

 世界の金融市場を中国発の「リーマン・ショック」が襲っている。わずか3週間で頂点から3割も下落した上海株、有無を言わさぬ強権発動で株価を支える中国当局、そして国際商品市場へと向かった売り圧力。新常態(ニュー・ノーマル)に向かう中国の軟着陸が失敗する時、グローバルな経済は新たな危機に身構えるほかない。

 

「悪意の空売り」を摘発

  7月27日、中国当局による株価の防衛線がついに破られた。中国株を代表する上海総合指数の4000台維持というマジノ線は、売りの嵐によってあっさり破られ、下落幅は8.5%にものぼった。28日にも株価は続落し、一時3500台をつけた。

 当局による必死の買い支えで小康を保っていたものの、いかにも人為的な株価維持策だった。日本が「海の日」の休日だった7月20日、世界の商品市場は売りの大津波に襲われたが、なかでも下げが目立ったのが金(ゴールド)市場である。下値抵抗線とされた1トロイオンス1100ドルの大台をあっさりと割り込み、一時1080ドル台まで下落した。金の下落と歩調を合わせるように原油なども売られ、WTI原油は今や1バレル50ドルを下回っている。

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