少子化対策に関して自治体は国の下部機関としての役割を担う。だがそれだけではない。地域住民に近いという強みを活かして、独自の役割を果たすことができる。 筆者は、大きく二つの役割があると考えている。一つは「コーディネート」、もう一つは「情報提供」だ。 まず、自治体の「信用」を活かした「コーディネート」機能の好例としては、三重県の「出会いの広場応援」が面白い。これは、県のホームページ上に、子育て関連の情報交換の場を提供し、県内の企業、団体やグループなどが行なう子育て支援の活動のためのパートナー探しをサポートしているものだ。 例えば、従業員十人未満のガラス店の社長が、ボランティアで自ら地域の「学童保育」に出向いて、「出前授業」を行なっている。子どもたちにガラスの危険性や防災対策について知ってもらいたいという社長の情熱が「出会いの広場」を通じて県に伝わり、学童保育が要請して実現したものだ。今後も要請に応じて出前授業を続ける予定だという。「出会いの広場」の開設、運営にはさほどお金はかかっていない。行政の経済負担はあまり増やさずに、地域のさまざまな主体から「子育て力」を引き出そうという三重県の知恵は秀逸だ。

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