おもちゃ業界と「遊び」ビジネス

執筆者:吉崎達彦2015年8月8日

 どの業界でヒアリングしても、だいたい似たような答えが返ってくる。アベノミクスが始まった2013年度は好調だった。ところが、消費税の増税があった2014年度は失速気味になった。2015年度は石油の値段が下がっているし、なんとか消費拡大を希望したい……とまあ、日本経済全体がそんな感じである。

おもちゃ市場規模の推移(出典:日本玩具協会)

 ところが、どんなものにも例外はつきものだ。世の中には13年度よりも14年度の方が良かった、という業界もある。それがおもちゃ業界で、2014年度の国内市場規模は7367億円。前年比109%となり、過去10年で最高を記録したという。
 日本玩具協会のリリース記事から、その解説を引用させてもらおう。

 好調の要因としては「妖怪ウォッチ」が社会的なブームとなり、玩具が中核商品として爆発的なヒットとなったことに加え、「アナと雪の女王」の関連商品も人気を集めました。さらに、女児向けのメイキングホビー商品や、砂玩具やけん玉など、アナログ型玩具も人気を呼びました。

 ちなみに日本玩具協会は、テレビゲームやスマホ関連ゲームは除外している。また、ガシャポンなどのカプセル玩具も別途集計している。この業界、会長さんがタカラトミーで、副会長さんがエポック社とバンダイナムコホールディングスである、と言えばだいたい雰囲気が掴めるだろう。
 筆者もかつて、これら企業には散々お世話になった。そして既に大きくなってしまった2人の娘には、これらの会社の商品をどれだけ買い与えたかわからない。プラレールや野球盤やたまごっちに、どれだけの時間を費やしたことだろう。
 ただし子育てが一段落してしまうと、急速に関心が薄れていく世界でもある。だから筆者も「ポケモン」のことはある程度分かるが、「妖怪ウォッチ」のことはまるで知らない。「アナ雪」も見ていない。逆にけん玉が売れたと聞くと、ちょっとうれしく感じる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。