介護ヘルパーになったフィリピーナたち

執筆者:出井康博2008年3月号

 二〇〇六年、小泉純一郎首相とフィリピンのグロリア・アロヨ大統領が合意した両国の経済連携協定(EPA)。その後、フィリピン上院の反対で実現が遅れているが、ここにきて三月にも批准される見通しが強まっている。 EPAにおける目玉は、フィリピンからの介護福祉士(以下、介護士)候補生と看護師候補生の受け入れだ。当初二年間での受け入れ予定人数は、介護士が六百人、看護師は四百人。彼らは三―四年の実習を経た後、国家試験に合格すれば、そのまま無期限に日本で就労できる。これまで「ホワイトカラー」以外の外国人には許されていなかった労働目的で日本に定住する道が、ついに開かれようとしている。その意味では、日本が労働移民の受け入れに向け第一歩を踏み出したとも言えよう。すでに「就労」は進んでいる 近く再開されるフィリピン上院での審議の行方を、固唾を呑んで見守る二人のフィリピーナがいる。日本に留学中のルイーサ・ブエラ・ノサさん(三〇)とステラ・レリス・ヘルナンデスさん(二七)だ。 〇五年に来日した彼女たちは、まず岡山の日本語学校で一年半、続いて大阪へと移って勉強を続けてきた。彼女たちは単なる語学留学生ではない。日本にやってきた目的は介護施設で研修することだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。