オバマ米大統領が7月末にケニアとエチオピアを訪問した。父親の母国ケニアでは「世界企業家サミット」を主催し、エチオピアでは米大統領として初めてアフリカ連合(AU)で演説した。「アフリカ成長機会法」(AGOA)の延長に署名してから出発したが、AGOAとはアフリカ産品に対する無税無制限輸入政策であり、原材料をアフリカのどこかに持ち込んで加工すればアメリカの市場に優先的に入れてもらえるというものだ。クリントン時代から始まった、アメリカの“専売特許”的目玉政策である。といっても、9割以上は原油輸入で使われてきた。

 しかし、シェールガス革命によってアメリカはもはやアフリカ産原油を必要としていない。それゆえアフリカからの輸入が激減していて、エチオピアの外相からは「アメリカとの関係に欠けているのは貿易投資」とまで言われてしまった。オバマ政権唯一のアフリカ政策といってよい「パワーアフリカ」(アフリカ電化支援)とAGOAくらいしか、具体的な開発支援政策として誇れるものがないというのが現状だ。オバマ政権下のアメリカのアフリカ関与は、ほとんどテロ対策に費やされてきたのである。今回ケニア政府と行った具体的な政策協議も、ケニアが永く交戦状態にあるソマリアのアルシャバーブ対策を中心とした、国際テロに関するものだった。

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