革命五十年を前に問われるカストロの退き際

執筆者:小西大輔2008年3月号

[ハバナ発]カリブ海の島国、社会主義国キューバのフィデル・カストロ国家評議会議長(八一)の去就が注目されている。議長は二〇〇六年七月末から病気療養を続け、公務から遠ざかったまま。キューバでは二月二十四日に開かれる人民権力全国会議(国会)で最高集団指導機関である国家評議会メンバーの改選が予定されており、カストロ氏が国家元首にあたる国家評議会議長職に再び就任するかが焦点となる。 一月二十日、キューバ全土で国会議員選の投票が実施された。選挙といっても、候補者選出委員会があらかじめ定数と同数の候補者を絞り込む信任投票方式の出来レース。カストロ議長ら全員の当選は投票前から分かっており、内外の関心は新たに当選した国会議員の中から選ばれる国家評議会メンバー三十一人、中でも議長の人選に移っていた。 カストロ氏は一九五九年一月一日のキューバ革命成功直後の二月に首相に就任。七六年に国家評議会が創設された後は議長となり、約半世紀にわたりトップに君臨してきた。ソ連など東側諸国の崩壊を生き残り、アイゼンハワーからブッシュまで計十人の米歴代大統領と対峙してきたカリスマが元首引退となると、内外に与えるインパクトは大きい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。