欧州連合(EU)が温室効果ガスの大幅な削減策を進めるなか、欧州最大の労働団体、欧州労連(ETUC)が「炭素関税(カーボン・タックス)」の導入を要求している。排出削減の取り組みが遅れている国からの輸入品に一定の関税率をかける仕組みで、EUの執行機関、欧州委員会に対して、「企業の環境コストをEU域内外で平等にするために炭素関税のようなメカニズムが必要になる」との書簡を送った。フランスなどのEU諸国でも輸入規制を求める動きがあり、欧州市場に輸出する日本企業にも影響が出そうだ。 EUは温室効果ガス削減を進めるため、一月に包括的な気候変動対策を発表した。これまでは過去の排出量に応じてEU諸国が主要企業に温室効果ガスの排出上限枠を無償で割り当てており、この枠を超えたときだけ排出権を購入すればよかった。だが新たな対策では排出枠は入札制による有償配分に段階的に切り替えられ、温室効果ガスの排出には必ずコスト負担が伴う仕組みになる。この費用だけで年間五百億ユーロ(約七兆九千億円)がかかる。そのほか、排出量取引の対象業種の拡大や排出上限枠の引き下げなどもあって、欧州企業は排出削減の「痛み」に直面することになる。

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