政府は2017年度から地方自治体に入る「法人住民税」から1兆円規模を国が吸い上げ、財政力の弱い自治体に集中的に再配分する検討に入ったと、10月26日付けの日本経済新聞が1面トップで報じた。2014年度に導入されている仕組みで、地方税の法人住民税約3兆円のうち、すでに6000億円をいったん国が吸い上げて財政力の弱い自治体に「地方交付税交付金」の一部として配っている。これを1兆円規模に拡大することを検討しているという。日本経済新聞によれば、今後「上積み額はさらに増える可能性もある」という。

 この政策の発案元が誰かは分からないが、おそらく総務省だろう。税制変更には自民党の税制調査会が大きな力を持ってきたが、会長が野田毅衆院議員から宮沢洋一前経済産業相に交代したばかり。記事も「自民、公明両党の税制調査会は消費税の軽減税率の議論に時間を取られている。法人住民税の再配分も今年末に結論を出せない可能性もある」とわざわざ書いており、税調がアイデアの出所ではなさそうだ。

 地方創生をアベノミクスの政策の柱のひとつと位置づける首相官邸や石破茂地方創生担当相の周囲も関係する。だが、官邸からは法人住民税を使った企業版ふるさと納税の導入論議が浮上しており、政策の筋が違う。

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