「官僚鎖国主義」がもたらす日本沈没

執筆者:白石均2008年4月号

空港会社への外資規制、公務員制度改革潰しなど、既得権益死守に狂奔する官僚たち。歯止めをかけられるか否か、正念場が迫っている。 オーストラリアのマッコーリー社が羽田の日本空港ビルデング株式会社の株二〇%弱を手に入れたことから巻き起こった、空港会社への外資規制問題。国土交通省は「短期的な利益を求める外資の資本参入によるサービス低下」「安全保障上の懸念」などの理由を無理矢理つけ、外資規制を盛り込んだ法改正を今国会中に成立させようと暗躍した。 だが、いくら「官僚寄り」と評されることの多い福田康夫首相とはいえ、一月のダボス会議で対日投資促進を訴えたばかりである。さすがにこの案には乗らず、外資規制のための法改正は今国会では見送りとなった。羽田空港では滑走路、航空管制とも国が直轄運営しているのだから「安全保障上の懸念」など生まれるはずもなく、サービス低下うんぬんは外資か否かとは何の関係もない。一敗地にまみれた国交省は霞が関の中でさえ「何を考えているのか」と呆れられているが、こんな案が出てくること自体が「官僚寄り」と呼ばれる福田政権下ならではのことなのだろう。 ただ、ここで付記しておくべきは、国交省の狙いは何も日本空港ビルのみにあったわけではないということだ。本丸は二〇〇九年度上場予定の成田国際空港株式会社。そして、いずれは上場するであろう関西国際空港、中部国際空港をも見据えている。

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