再膨張「道路利権」という日本の病根

執筆者:吉野源太郎2008年4月号

すべての道は利権に通ず。元祖土建政治家・田中角栄のDNAは日本の津々浦々に深く染みつき、いまなお地域を支配する。 二月中旬、宮崎県の有力建設会社、八紘が事実上倒産した。社長の古小路汎氏は中堅建設業団体、宮崎県建設業協会の会長。地元には「地域経済の崩壊だ」と悲鳴が上がった。「道路財源死守」を叫ぶ東国原英夫宮崎県知事の全国行脚はさらに熱気を帯びた。道路族の“走狗”と揶揄されてもひるまない。本人は尻に火がついた思いなのかもしれない。 二年前、当時の小泉純一郎首相は衆院本会議で「二〇〇七年度から道路特定財源の一般財源化に着手する」と表明した。今年三月末の暫定税率期限切れをきっかけに、民主党が“ねじれ国会”の中心テーマに据えたことから、中断していた論議が再燃、反響は全国に広がった。 今、インターネットは道路問題の洪水だ。「道路特定財源」を検索すると八百余(三月初め)のサイトが現れる。目立つのが自治体。都道府県はもとより、ふだんはあまり名前を聞かない地方町村も登場する。「暫定税率廃止反対」「道路はまちづくりの基礎」「道路がなければ隣の町まで急病人を運べない」 中身はどれもよく似ている。マスコミのアンケート調査などでは、道路整備特別会計に繰り入れられる揮発油税など特定財源の「一般財源化」を求める声が有力なのに、自治体の主張はなぜか「特定財源維持」一色。同じようなイラストやグラフ、同じ文言の説明。国土交通省道路局が“指導”しているという噂もある。

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