うまい汁を吸っているのは、ここに取り上げた一人のドンだけではない。利権構造に巣喰い、国民の税金にたかる者たちは大勢いる。 年間五兆円をゆうに超える巨額の道路特定財源を背景に、道路の世界にくまなく張り巡らされた天下りシステム。そのすさまじい実態を象徴する一人の「大物次官OB」が、二月二十日の衆議院国土交通委員会で槍玉に挙がった。 鈴木道雄。道路局長、建設技監から事務次官へと上り詰め、その後は日本道路公団総裁の椅子に七年間にわたって座り続けた人物だ。鈴木は国土交通省の天下り公益法人(なんと九団体!)で理事長や理事を務めていた。この九法人には道路財源を原資とした道路整備特別会計を中心に国交省から年間二百億円を超す発注があり、そのほとんどが随意契約。民間のような価格競争は生まれようもなく、有利な受注であることは疑うべくもなかった。 理事長職と理事職には、報酬を受けるものと無報酬のものがある。鈴木が「報酬有り」の常勤理事長を務めるのが、国交省から道路のパトロールや工事予定価格の積算業務などを独占的に受注している「関東建設弘済会」。国交省が作成した資料によると、理事長職の年収は上限千七百六十万円となっている。

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