十五兆円という買収金額で耳目を集めた資源大手のM&A戦略。巨大化を続ける一次産品業界は世界にどんな影響を及ぼすのか。「今から思えば、二〇〇一年に起きたのはまだ牧歌的な出来事だったのかもしれない」。日本の鉱山業界関係者はこんな感想を漏らす。今、世界の資源大手の間で起きているダイナミックな再編ドラマについてだ。 英豪の資源大手、BHPビリトンは昨年十一月、同じく英豪の資源大手のリオ・ティントに非公式に買収を提案した。リオの経営陣は提案額が「企業価値を過小評価している」と不満を表明、提案を拒否した。その後、BHP側は買収金額を一割程度引き上げ、総額は千五百億ドル(約十五兆円)規模に膨れあがった。リオ・ティントの売り上げ(〇六年に二百五十四億ドル)のおよそ六倍にも達する空前の巨大M&A(企業の合併・買収)提案だ。しかし、リオ側は首を縦に振らない。 その六年前の〇一年。当時、豪州を代表する資源大手BHPと英国のビリトンが合併し、今、リオにM&Aを仕掛けているBHPビリトンが誕生した際に「資源業界の空前の巨大合併」と呼ばれた。だが、存続会社のBHPからみた時のビリトンの買収額は百四十五億ドル。今、BHPビリトンが提案している金額の十分の一の規模にすぎない。わずか六、七年のうちに資源業界のM&Aの規模は一ケタ変わったわけだ。

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