中東をめぐる話題のスクープといえば、たいていこの人から発せられる。アメリカのジャーナリスト、セイモア・ハーシュである。

『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』の2016年1月号の一部がウェブで公開されているが、そこでハーシュがまたも爆弾スクープを寄稿している。

Seymour M. Hersh, “Military to Military,” London Review of Books, Vol. 38 No. 1 · 7 January 2016, pp. 11-16.

この記事によれば、オバマ大統領と側近によるシリア政策を、軍の制服組の最上層部がサボタージュして骨抜きにした。軍は大統領の意向に反して、秘密裏にドイツ・イスラエル・ロシアへ諜報情報を流して間接的にアサド政権と協力し、政権維持を助けてきたという。この記事が正しければ、オバマ政権が批判するロシアの対シリア軍事介入やアサド政権支援の政策を、米の軍部は密かに歓迎し、支援・協調していたことになる。

記事の主な情報源としては、参謀本部の高いレベルの「元顧問」が匿名で情報を提供し、国防総省の国防情報局(DIA)の元局長のマイケル・フリン中将が実名発言でそれを追認した形になっている。

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