さらに、価格が高騰する新薬のなかでもとりわけ暴騰している新規の抗がん剤の価格は、「患者に財政的な“毒性”を及ぼし、薬の“副作用”である」とまで言われています。がん治療の世界的リーダーである「メモリアル・スローンケタリングがんセンター」(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center:MSKCC)のピーター・バック博士の調査によると、1970年代から、新たに承認された抗がん剤の価格が急上昇しています。実際、1965年以来、抗がん剤の価格は約100倍に上昇。2010年~2014年に新たに承認された30種類以上の抗がん剤の価格は、月に1万ドル(約120万円)以上まで上昇していることが確認されたのです。

 また、2015年8月、「テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター」のハゴップ・カンタジャリアン教授と「メイヨー・クリニック」のビンセント・ラクマー教授は、医学雑誌の『メイヨー・クリニック紀要』(Mayo Clinic Proceedings)に、高価な抗がん剤に関する問題を共同で報告しました。そのなかで非常に興味深い2つの事例を取り上げ、改めて「薬価暴騰」に対して問題提起し、注目を集めました。

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