航空会社も二の足を踏む「茨城空港」の前途

執筆者:清水常貴2008年4月号

「首都圏第三空港」だそうである。二〇〇九年度末に開港する茨城空港だ。場所は茨城県中央部に位置する小美玉市。ご存じない人も多いだろうが、霞ヶ浦の北、田んぼと雑木林が点在する中に航空自衛隊百里基地がある。戦前の旧帝国海軍百里ヶ原飛行場で、現在は首都防空を任務とする第七航空団が駐屯し、領空侵犯機に対してF-15戦闘機がスクランブル発進する。茨城空港が作られるのはこの百里基地の中。自衛隊が使っている滑走路に平行して二千七百メートルの新滑走路と誘導路、ターミナルビル、駐車場などを増設し航空自衛隊と共用することになる。 共用の声が上がったのは一九九二年。羽田空港が満杯だという声が溢れていたころだ。二〇〇〇年には共用飛行場に指定され工事が始まった。総事業費は約二百五十億円。そのうち県の負担は三分の一で、八十億円が見込まれている。茨城空港より一年早く〇九年三月に開港する静岡空港の建設費が空港本体だけで四百九十億円(県負担は二分の一)、駐車場や進入道路、農業補償費など全体では千九百億円もかかるのと比べれば“破格”の安さではある。加えて、共用空港では航空管制は自衛隊、滑走路の管理も国が行なうため、県にとっては維持費がかからない。

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