巨額の粉飾決算の後遺症に揺れる東芝が2月4日、四半期決算の発表で、2016年3月期の最終赤字額を7100億円に下方修正した。もちろん同社としては過去最悪の赤字。自己資本(株主資本)はわずか1500億円まで減少する見通しで、債務超過目前の崖っぷちに立たされる。株価も急落、35年ぶりの安値圏で推移している。

 電力・社会インフラ部門などで市況の悪化による減損処理を実施したことや、半導体事業での在庫の評価減などが主因としている。だが、要は過去からの甘い資産評価などによって一気に損失処理を迫られているのだ。記者会見した室町正志社長は、「来年度からのV字回復を図るため、今年度にウミを出し切る」と強調したが、懸案の米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の「のれん代」約3440億円は減損の必要がないとして手つかずのまま残されている。

 中国を中心に世界経済の減速が鮮明になる中で、事業環境は一段と厳しさを増している。そんな中で東芝は本当に「ウミを出し切る」ことができるのかどうか、まだ予断を許さない。

 

「虎の子」の売却

 東芝が昨年9月に発表した決算修正では、2014年3月期までにかさ上げしていた利益は2781億円にのぼった。これに2015年3月期の最終損益378億円を加えると、ざっと3000億円の赤字。今期の見通しが7100億円の赤字ということは、昨年4月の不正発覚以降、1兆円以上の損失が表面化したことになる。

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