サウジアラビアで大規模な合同軍事演習が行われている。「北の雷鳴(Ra'ad al-Shamal)」と名付けられた演習は、サウジアラビア北東部ハファル・バーティン(Hafar al-Batin)のハーリド王軍事都市で、公式には2月14日から3月10日にかけて行われるものとされている。演習には20カ国(あるいは21カ国)から15万人(一部の報道では35万人とも)の兵員が参加し、戦闘機2540機、戦車2万両、ヘリコプター460機が投入されるというが、実際にはそのような規模にならないと専門家は見る

 ハファル・バーティンはサウジ北東部の、クウェートとイラクとの国境に近い。イランの影響力が増すイラク(特に南部)に対峙する場所で、親サウジ同盟を誇示するのが目的だろう。サウジは昨年12月に35カ国(名指された国が認めていない場合もあり、34カ国とする場合など数え方はまちまちである)の「対テロ連合」を発表したが、その実態は疑われている。同時に、1月末からのロシアに支援されたアサド政権軍のアレッポ付近への攻勢に際して、2月4日にサウジ軍の報道官のアスィーリー准将がシリアへの地上軍展開の可能性に触れ、8日にはジュベイル外相も同様の発言を行ったことで、サウジのトルコと連合したシリア介入がロシアとの衝突に結びつきNATOを巻き込む可能性が取り沙汰され、緊張と不透明感が高まった。

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