≪記事前半はこちら≫

 次に、規制改革の動きについてみていきたい。
 安倍総理が民泊推進の方向を示しているので、何か統一的な方針に沿って政府全体が動いていると思われるかもしれないが、現状は少なくとも、そうは言えない。むしろ、関係省庁・関係会議がまだバラバラに動いているに近い状態だ。とりあえず現状を切り取ってみると、以下のとおりだ。

3、規制改革の動きの状況

 

 まず、厚生労働省と観光庁で共同開催している「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は、昨年11月にスタート。3月までの間に7回の会議を開催して「中間整理」を公表した。ここでは、
・当面の措置として、旅館業法の簡易宿所の延床面積基準の緩和(「33㎡以上」→「収容人数×3.3㎡以上なら33㎡未満も可に」)
・さらに中長期的に、一定要件を満たす民泊サービスについて規制緩和を検討(例えば、家主居住で自宅一部を貸し出す「ホームステイ型」などが対象)
 との方向が打ち出されている。

 次に、内閣官房のIT総合戦略本部では、「ITの利活用に関する制度整備検討会」(2015年10-12月に開催)で、テーマのひとつとして、民泊に代表される「シェアリングエコノミー」の適正確保が検討された。12月の「中間整理」では、インターネットでサービスを仲介する事業者に対する規制を創設すべきとの方向が打ち出された。
 従来の旅館業法などは、直接のサービス提供者(民泊物件のオーナーなど)を規制しているのに対し、ここでは、仲介事業者(エアビーアンドビーなど)に規制を課すということだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。