4月7日からエジプトを訪問しているサウジアラビアのサルマーン国王は、8日のスィースィー大統領との会談の後の共同記者会見で、「紅海を越えて」サウジとエジプトを繋ぐ橋の建設で合意したと発表した。

実態は「チラン海峡大橋」

「紅海を渡る橋」となるとアラビア半島とアフリカ大陸を繋ぐ100kmにも及ぶものを想像してしまうかもしれないが、もっと現実的なものである。サウジアラビアとエジプトとの間には紅海から北に食い込んだアカバ湾がある。アカバ湾の紅海への湾口がチラン海峡(ティラン海峡:正確には「ティーラーン海峡」)である。チラン海峡は狭いところでは10km程度しかなく、間にティラン島やサナーフィール島があり、浅瀬も広がっている。

「紅海を横断する」「アジアとアフリカをつなぐ」といっても、最短距離の、アカバ湾の入り口をつなぐだけであり、橋の全長は、案によってことなるが32km、あるいは21kmなどとされており、海上の部分は7kmや10km程度になるようである。

 チラン海峡に、島伝いに橋を架ければ、現在はヨルダンとイスラエルによって隔てられているサウジとエジプトが直接陸路で繋がる、というのはムバーラク政権時代から温められてきた案であり、特に2013年にムスリム同胞団出身のムルスィー大統領に対するスィースィー将軍のクーデタをサウジが支持して以来、浮上していた。

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