ボコ・ハラムの弱体化が伝えられる中、フランス公共ラジオによると、2代目指導者アブバカル・シェカウは3月24日、インターネット上でビデオ声明を公開し「私にとって終わりが来た」と述べた。敗北宣言とも取れる声明は、シェカウがもはや組織内で力を有していないことを示している可能性がある。
 シェカウは住民に対する大規模な襲撃を主導し、ナイジェリア北東部で領域支配を目指してきたリーダーである。その彼が組織内での指導力を失ったことは、領域支配を追求する活動方針の行き詰りを示しているだろう。
 領域支配を発展、維持させるには、一定規模の巨大な組織が必要だ。だが自爆テロは、はるかに少ない人数で実行が可能であるにもかかわらず、劇的な宣伝効果を持つ。住民に強い恐怖を与えるとともに、国際社会の注目を惹きやすい。
 ボコ・ハラムは自爆テロの多用によって自らをグローバル・ジハード・テロ組織になぞらえ、世界のジハード主義者の関心を惹こうとしている可能性がある。さらには、少女を使った自爆テロに憤った米国が、ナイジェリアへの軍事的関与を深めてくれることを狙っているのかもしれない。米国を引っ張り出すことができれば、自らの武装闘争をジハードとして正当化しやすいからである。今年1月に筆者が面談したナイジェリア大統領府の国家安全保障問題の担当者は、ボコ・ハラムの領域支配拡大を阻止したことへの自信を示す一方、追い詰められたボコ・ハラムが、より注目度の高い少女を使った自爆テロに傾倒していくことへの懸念を示した。

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