職員約130万人を抱える世界最大級の公営企業として知られるインド国鉄が、利便性向上や収益構造改善を目指し、最高時速160キロに達する準高速鉄道の導入や駅施設の再開発など、本格的な近代化に乗り出した。2023年にも運行開始する日本型「新幹線」や、デリー、バンガロールなどの都市で大きな成果を上げているメトロ(都市高速鉄道)がとかく話題となっているが、収益の柱であるにもかかわらずこれまで改革が遅れていた在来線部門をテコ入れするのが最大の狙いだ。

 

収入は4年間で5割増

 インド国鉄は、日本の鉄道より約20年も早い1853年設立。路線総延長は6万4000キロに達し、米、ロシア、中国に次ぐ世界第4位の鉄道王国である。非効率経営やモラルの低下などで慢性的な赤字体質が続いていたが、政府によるテコ入れの結果、近年の収益は大きく改善している。

 国家予算とは独立して作成・発表された2016年度連邦鉄道予算では、収入見通しを前年度比10.1%増の1兆8482億ルピー(約3兆円)と見積もっている。これは2012年度に比べると実に49.4%もの大幅増加となる。

 インド国鉄の収入のうち、約64%(2016年度予算ベース)を占めるのが貨物運賃。それだけに、2016年度予算には、貨物部門の線路基盤強化による輸送力増大を目指し、2019年度までに貨物輸送の70%を軸重25トン以上の高規格線路で行うことを盛り込んだ。そして、今後5年で貨物列車の平均速度を現在の2倍に引き上げ、急行列車なども同様に25%引き上げる、としている。

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