どちらの政策が支持されるか(C)AFP=時事

 

 11月の米大統領本選挙に向けた候補指名獲得争いは、共和党はすでにドナルド・トランプ氏が、民主党もヒラリー・クリントン氏が事実上、確定しています。今後、本選挙キャンペーンにおいて、ヘルスケア政策は非常に重要であり、実際、これまでも大統領選では毎回論争の的になっています。トランプ氏とクリントン氏もそれぞれの政策を掲げていますが、多くの米国人は、トランプ氏の政策は果たして米国民の健康を促進できるのか、懸念を感じています。そこで、両候補者のヘルスケア政策を比較してみます。

 

所得による寿命の格差

 政策を比較する前に、まずは米国人の「寿命の格差」を見ておきましょう。

 これまで多くの米国人が、貧富の差が寿命に影響を及ぼしているのではと感じてきましたが、諸外国との単純な寿命の比較データはあっても、国内における所得と寿命の因果関係を示す比較データはありませんでした。

 そんな中、今年4月、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の研究者らが共同で、2001~2014年にかけて延べ約14億人の米国人を対象に所得と死亡率の因果関係を調査し、その結果を「貧富による寿命の格差」として論文にまとめ、『米国医師会雑誌(JAMA)』で報告しました。

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