将来に禍根を残すことになるかもしれない愚策か(C)時事

 

 参議院選挙の大勝を手に入れた安倍晋三首相は、その余勢を駆って大型の経済対策に打って出た。政府・与党は7月28日、経済対策案を大筋でまとめ、8月2日に与党として了承し、閣議決定した。財政措置のうち、国と地方の財政支出(真水部分)は7.5兆円程度、事業規模は28兆円を超える。

 それにしても、消費税率の引き上げを先送りし、2020年度のプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化目標を堅持し、国債の発行を抑制するとしている現在の財政状況の中で、一体どこに大型経済対策を実施するだけの財政資金があるのだろうか。その答えは「財政投融資」にある。

 

批判受け制度改革したのに……

 7月11日、安倍首相は記者会見で「現下のゼロ金利環境を最大限に生かし、財政投融資を積極的に活用する」と述べた。さらに、同27日の福岡市での講演では、財政投融資の活用に関して、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年間前倒しすると明言した。

 財務省のホームページによると、財政投融資とは、「国債の一種である財投債の発行などによって調達した資金を財源とする、国による投融資活動」と定義されている。つまり、国の財政資金を原資として公的機関が投融資を行い、この資金が民間企業等に回り事業として実現する。

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