国民投票でEU(欧州連合)離脱を決めているイギリスのテリーザ・メイ首相は議会下院で、核抑止で重要なのは核を使用する用意があると敵に知らしめることだと述べ、安全保障上の危機が訪れれば「核のボタン」を躊躇なく押す姿勢を鮮明にした。
 イギリスは、保有する唯一の核戦力である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)トライデントをヴァンガード級原子力潜水艦4隻に搭載し、スコットランドのクライド海軍基地に配備している。7月18日、議会下院(定数650)は、賛成472、反対117でこの原潜の更新計画を承認。イギリス政府は、少なくとも310億ポンドを投じ、2028年をメドに順次更新する。
 メイは、安全保障上の脅威としてロシアと北朝鮮を挙げ、核戦力保持はイギリスを守るだけでなく同盟国と世界にとって重大であるとした。その上で、更新に反対したスコットランド国民党(SNP)のケレバン議員から、10万人の罪のない男女や子供の命を奪う核兵器を使用する心構えがあるかと問われると、あると即答した。これに対して、国際社会から核兵器の保有を認められていない北朝鮮は、朝鮮戦争(1950年)では両国は戦ったが、現在は自分たちはイギリスの脅威ではないと反論している。

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