南米初のオリンピック、パラリンピックが大いに盛り上がるブラジルと日本は、昨年国交樹立120年を迎え、友好の歴史は長い。地元ブラジルの選手以外で最も大きな声援を受けているのは、おそらく日本選手団ではなかろうか。

移民と皇室外交が彩る日伯関係

 日本とブラジルの関係を語る上で、いの一番の存在が移民だ。8月5日のオリンピック開会式では、広島への原爆投下のタイミング(日本時間6日午前8:15)に合わせ、日の丸をイメージさせる衣装を身にまとったダンサーが登場。日系移民をテーマにした演出が登場した。移民の歴史は、1908年6月18日、約800人のブラジルへの第1陣を乗せた神戸港発「笠戸丸」がサントス港に到着したことに始まる。ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領のような元首は生まれていないものの、人口は約190万人と推計され、アメリカを上回る世界最大の日系人社会が築かれている。
 もう1つの大きな存在が皇族方のブラジルご訪問だろう。1958年、移住50周年を記念した三笠宮殿下のご訪問を皮切りに、天皇陛下は皇太子時代の1967年、1978年、即位後の1997年と3度にわたり訪れられた。近年では、2008年6月、移住100周年を記念して皇太子殿下がブラジリア、サンパウロなど8都市をご訪問。2014年6月には高円宮妃殿下、2015年10月には秋篠宮殿下が訪伯された。受け入れ側の日系人社会においてご訪問に対する期待が高いだけでなく、ブラジル政府も最大限の歓迎の意を示している。皇太子殿下ご訪問では、元首並みの21発の礼砲、国内移動には大統領専用機が用意された。多くの国からの移民で成り立つブラジルだが、特定の国からの移民を記念した周年行事を政府が主催する例は他にないという。

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