不正献金問題も再燃したが……(左奥はジョー・バイデン現副大統領)AFP=時事

 

 近年では稀にみる凡戦とも評されながらも、アメリカ大統領選挙は最終ゴールに向かって白熱化しているようだ。トランプ陣営に一時の勢いが感じられず、やはりクリントン有利に選挙戦が展開されていると伝えられるが、そこで俄かに注目を集めているのがヒラリー候補(というよりクリントン夫妻というべきだが)と中国との関係である。かりにヒラリー・クリントンがホワイトハウスの主となった場合、クリントン夫妻を抱え込んでいるであろう「チャイナ・コネクション」が動きだし、アメリカの中国政策に陰に陽に影響を与えることになるのではないかという懸念があることからだろう。

 事の性質上、クリントン夫妻のチャイナ・コネクションの全容を明らかにすることは難しそうだ。だが、インドネシア籍華人企業家で「力宝(リッポー)集団」を率いる李文正(モフタル・リアディー/1929年~)との関係をたどれば、あるいは同夫妻を取り囲むチャイナ・コネクションの大枠が明らかになるようにも思える。それは同時に、政商的振る舞いの目立つ華人企業家によるワシントン中枢への接近ぶりを窺い知ることができるだけではなく、彼らを仲介役にしての北京による対米政治工作の一端を炙り出すことにも繋がるのではなかろうか。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。