黄之鋒(左側前列)率いる新党が想像以上の大躍進だった(C)AFP=時事

 

 香港の議会にあたる「立法会」の4年に1度の選挙(定数70)の投開票が4日から5日にかけて行われた。その結果についてざっくり評すると、「非親中派が微増。本土勢力が躍進」ということであろう。

 今回の選挙で最大の注目点は、2014年の反中・民主化要求デモ「雨傘運動」に関わった若者ら6人が当選を果たしたことである。

 香港の民主を制限しようとする中国に反発して若者たちが立ち上がった2014年9月の雨傘運動は、結果として運動そのものは成果を出すには至らなかった。しかし、運動からちょうど2年が経過した今回の選挙で、香港の政治地図に、目標に掲げる「自決(香港の将来を自分たちで決めること)」に向けて今後新たな闘いを展開するための大きな拠点を彼らが確保したことになる。

 

無視できない一大勢力に

 いわゆる「本土勢力」の6人のうち、穏健な主張をとる3人を既存の「民主派」に分類する報道もある。ただ、そこには違和感がある。当選した6人は、香港をあくまでも自分たちがよってたつ土地とし、自分たちの将来は自分たちで決めたいとする「自決論」を唱えることで、中国とは一線を画す考え方で共通している。これは、香港人はあくまで中国人であるとし、中国との一体性を否定しない民主派とは根っこの価値観から異なっている。雨傘運動後、既存の民主派のなかでも「自決論」にシフトする動きもあり、そもそも民主派というカテゴリーが成立しにくくなりつつある。そのため現段階では、従来の民主派と新興の本土勢力をあわせた「非親中派」と分類するのが便利だし、現実にかなった分類なのではないだろうか。

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