北朝鮮の内政を少し振り返ってみよう。北朝鮮は5月初めの第7回党大会、6月末の最高人民会議第13期第4回会議を通じて金正恩(キム・ジョンウン)党委員長をトップとする独裁体制を確立したことから、権力の安定的な運営に入るのではという見方があったが、その後も幹部を粛清したり、革命化教育という処罰を科す「恐怖統治」を続けている。その反動として、海外駐在の幹部の脱北も続いている。

日本亡命希望は誤報か?

 韓国紙、中央日報は10月5日、対北朝鮮消息筋の話として、北京駐在の北朝鮮代表部所属の幹部2人が9月末に家族とともに脱北し、亡命の手続きを踏んでいると報じた。同紙は、このうちの1人は「北京代表部で代表の肩書きで活動してきた北朝鮮内閣保健省1局出身の幹部」とし、同消息筋は「この幹部の家族が日本大使館と接触し、日本行きのための手続きを進めたと聞いている」と述べたと報じた。この幹部は日本に親せきがおり、ソウルよりも東京に行く意向を明らかにしたとした。
 同紙は、同消息筋が「この幹部は金正恩党委員長の健康に関連する薬品と医療装備の調達、導入を担当してきた」と述べたと報じた。
 しかし、菅義偉官房長官は5日の記者会見で脱北者が日本への亡命を希望しているという報道について「(そのような)事実はない」と語り、報道内容を否定した。北京の日本大使館も、脱北者との接触などの事実はないと否定した。
 韓国の聯合ニュースは同日夜になり、この脱北者が既に韓国入りし、関係機関の合同調査を受けていると報じた。北京に駐在した薬品や医療器具の調達を担当してきた人物が韓国に亡命したことは事実のようであるが、日本への亡命希望は誤報とみられた。

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