「脱原発」に走る台湾「蔡英文政権」の決意

執筆者:野嶋剛2016年10月31日
台湾の街角のあちこちに掲げられた掲示物(筆者撮影、以下同)

 台湾の民進党・蔡英文政権が、「脱原発」に向かって、本腰を入れようとしている。2025年に原発ゼロを実現し、台湾をアジアで最初の「非核の島」とする決意を固めた。中国やインド、ベトナムなどアジア各国はいま原発増設に邁進し、福島第1原発の悲惨な事故を経験した日本ですら、原発維持か脱原発かで結論を出せないまま立ち止まっているなかで、なぜ台湾があえて脱原発に踏み切れたのか。

再生エネルギーで代替

 台湾の現在の電力供給割合は、火力が80%を占めており、そのうち天然ガスは50%、化石燃料が30%となっている。原子力は14.1%に過ぎない。残りの約5%が太陽光や風力の再生エネルギーだ。

 これが、現在の民進党政権による計画では2025年以降には、火力が同じ80%を維持し、原子力がなくなった部分を再生エネルギーで代替しようというプランである。また、台湾では備蓄用の電力が20%以上あるとされるが、備蓄用は15%で十分とされ、その分を消費に回すことで、より原子力発電がなくなったあとの電力バランスが取りやすくなると見られる。

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