歌姫ビヨンセのコンサートにも飛び入りして必死の巻き返しを図っているが……(C)AFP=時事

 

 共和、民主両党それぞれが7月にオハイオ州クリーブランドとペンシルベニア州フィラデルフィアで全国党大会を開催し、共和党は実業家兼テレビパーソナリティのドナルド・トランプ氏を、民主党は前国務長官のヒラリー・クリントン氏を大統領候補に擁立し、過去3カ月余り激しい本選挙キャンペーンが繰り広げられてきた。しかし、11月8日の大統領選挙投票日までわずか残り1日となり、いよいよ大詰めを迎えつつある。共和党全国党大会閉幕直後にトランプ候補が一時クリントン氏の支持を上回る局面があったものの、9月末から10月中旬まで合計3回行われた大統領候補討論会では、いずれもクリントン氏がトランプ氏に勝利したと一般有権者により判断され、本選挙キャンペーンは基本的に「クリントン優勢」のまま推移してきた。

 

「オクトーバー・サプライズ」

 ところが10月28日、このような従来までの基調に大きな変化が生じることとなった。ジェームズ・コーミー米連邦捜査局(FBI)長官が、7月に捜査終結を発表していたクリントン氏の国務長官在任中の私的メール使用問題について捜査再開を決定したことで、「クリントン優勢」の流れから「トランプ攻勢」へと一挙に激変したのである。まさに、投票日まで10日余り前の最終盤で「オクトーバー・サプライズ」がクリントン陣営を直撃したことになる。投票日2日前の11月6日にFBIはクリントン氏の新たなメールを再捜査した結果、追訴しない判断を下したが、捜査再開自体が、選挙キャンペーン最終盤で投票行動を決めかねていた有権者には影響を及ぼしたと考えられる。

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