居住者がいない高層マンションが林立する「鬼城」が再び出現している(C)時事

 

 中国経済がますます理解しにくくなっている。成長率が低下し、鉄鋼、石炭など過剰生産の産業が破綻の淵にあるかと思えば、世界の鉄鉱石、原料炭価格は中国の買いで急上昇。習近平国家主席が反腐敗と引き締めを語る傍ら、不動産バブルが再来し、自動車販売も2ケタ増。国際通貨基金(IMF)が政府や企業の債務膨張に警告を発する一方で、中国企業は先進国企業の爆買いに走っている。中国経済はハードランディングに向かっているのか、底打ちしたのか? 謎を解くには、党と政府、バブルと負債、衰退産業と成長産業という、中国経済が今抱える3つの二重構造を理解する必要があるだろう。

 

読み切れない「持続力」

 9月初旬に杭州で開催した主要国首脳会議(G20)でも、あるいは同月下旬の経団連など日本の経済界の訪中ミッションでも、大きな話題になったのは中国の鉄鋼の過剰生産だった。世界のほぼ半分の鉄鋼を生産する中国の過剰生産能力が世界にとって深刻な問題であり、中国自身も宝鋼集団と武鋼集団の大手2社の合併など設備縮小に具体的に動いている。一方で、中国の鉄鋼業界には「これからは設備縮小より増産」といった底打ち感が漂っている。道路、空港、工業団地などインフラ建設が各地で再開され、ビル、集合住宅など建設プロジェクトも動き出しているからだ。

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