中国の薄型テレビ市場が今年、急膨張し、販売台数が昨年の二倍近い千七百万台を超える可能性が強まってきた。北京五輪を大型で高精細の薄型テレビで見ようという世帯が急増するためで、液晶、プラズマの薄型テレビがブラウン管テレビを上回る可能性も出ている。中国は昨年、薄型テレビの売上高が九十二億ドルまで増加、七十七億ドルに留まった日本を抜いた。今年は日本の二倍近い市場規模に達するとの見方もある。 五輪やサッカーのワールドカップの開催年は世界的にテレビの買い換え需要が増すが、中国は初の五輪開催で、所得も伸びているため、消費者のテレビ買い換え意欲は高い。追い風になっているのは価格低下。昨年同時期に比べ、インチあたりの単価はすでに三〇―五〇%の下落となっているが、さらにプラズマ陣営の攻勢で一段と低下する様相となっている。テレビ大手の四川長虹電子が四月に入って、五十インチのプラズマテレビを従来の一万二千九百九十九元(約十九万円)から一万元以下に引き下げると発表。日本メーカー関係者は「安売り競争が新たな次元に突入した」と対抗値下げの検討を進めている。世界的に液晶テレビに対しプラズマテレビが販売台数の伸びで劣勢に立ち、台湾メーカーが大型のプラズマパネルを一段と安値で供給し始めたことが背景にある。日本やその他の先進国市場では液晶が大型サイズでも優勢になり、プラズマは厳しい局面にあるが、中国では大型サイズではプラズマが依然として高いシェアを維持しており、安値攻勢でシェア防衛を図る考え。

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