「暴言を止める」と言ったのも「冗談」だったらしい(C)時事

 

 フィリピンのドゥテルテ大統領。三笠宮崇仁さまの逝去と重なったため、天皇陛下との面会はかなわなかったが、訪日期間中の「おもてなし」を、親日家として十分に満喫したようだ。

 

中国との綱引き

 同大統領は10月18日から4日間、中国を訪問し、続いて25日から27日まで日本を初訪問した。最初は日本訪問が先に決まっていたが、中国が割り込んだ。習近平国家主席は同大統領を厚遇し、フィリピンに対して90億ドルの融資を約束し、バナナなどにかけていた関税撤廃も決めた。南シナ海問題で懐柔を図ったのは明らかだった。

 アキノ前比大統領(2010年6月~16年6月)は日米と連携し、南シナ海での中国の威圧的行動に対して結束してあたってきた。しかしドゥテルテ大統領になってこの結束に疑問符が付き始めた。

 キッカケは、同大統領の麻薬犯罪者に対する取り締まりをオバマ政権が人権を盾に批判したこと。同政権に対するドゥテルテ大統領の暴言はエスカレートし、その後撤回したものの、中国滞在中には「軍事的にも経済的にも米国と決別する」とまで言った。同大統領をどう日米の側に引き戻すのか。迎える日本に注目が集まったのも当然だった。

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