福田政権の壊し屋「伊吹幹事長」の自己過信

執筆者:浜健太郎2008年5月号

 超低空飛行を続ける福田政権。五月政変説も流れる中、永田町で万人に“A級戦犯”と名指しされるのが、自民党の伊吹文明幹事長(七〇)である。“罪状”は数限りない。二月下旬、日銀総裁人事をめぐって協議を続ける自民・大島理森、民主・山岡賢次両国対委員長の間に割って入ってはみたものの、「民主党幹部の弱みは握っている」などと高圧的な態度に終始し、話をぶち壊した。そもそも両国対委員長は、陰で伊吹氏のことを「イヤミ」と呼んで嫌っており、激怒した山岡氏は武藤敏郎元財務次官の総裁就任潰しに拍車をかけた。それでも伊吹氏は、民主党が武藤案に賛成する可能性はあると福田康夫首相に報告し続け、政府が大恥をかいたのは周知の通り。 あるいは一月下旬、与党が伊吹氏主導で画策したガソリン税の暫定税率をめぐる“つなぎ法案”騒動。衆参両院議長裁定を経て、野党側と「年度内に一定の結論を得る」との内容で合意し、してやったりと上機嫌の伊吹氏はその夜、派閥の議員や番記者を引き連れ日本橋の料亭『高田』で大宴会を催した。「締まり屋」(つまり吝嗇)の評価が定まっている伊吹氏の大盤振る舞いに関係者からは驚きの声が上がったが、二月末の予算案強行採決により態度を硬化させた民主党は年度内採決に応じず、暫定税率は期限切れを迎え、ガソリン代は下がった。党内では「歴史的完敗」「つなぎ法案を通しておけば、こんな事態にはならなかった」と伊吹氏への批判が吹き荒れたのである。

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