物議は醸したが、間違った発言ではなかった(C)AFP=時事

 

 米国のトランプ「次期」大統領と台湾の蔡英文総統が電話会談を行ったニュースが流れたことで、台湾に漂った空気は、必ずしも中国を出し抜いて「してやったり!」とする拍手喝采ではなかった。むしろ安堵であった。それは、トランプの発言が、台湾人がずっと感じていた不満・疑問に、一応の納得のいく「正論」で応えていたからだった。

 

「台湾問題は米中関係の最重要課題」

 トランプはツイッターで「米国が台湾に数十億ドル規模の軍装備品を売っていながら、私は祝いの電話を受けるべきではないというのは興味深い」と述べた。これは、台湾の人々にとって、かなり大きな意味があったと思う。

 台湾は米国から多額の武器を買っている。米国の報道によれば、「2010年以来、台湾は米国から140億米ドル(1.6兆円)の武器・装備を購入していることが、議会に報告されている」という。この数字は台湾側が公表している数字ともほぼ一致している。

 これは日本の米国製武器調達の金額の数倍に達するだろう。年間予算7兆円弱の台湾で、国防予算は1兆円程度である。そんな台湾の予算規模からすれば、ふさわしいとは言えないぐらいの金額である。そのため、台湾の国防部は普段はかなり涙ぐましいほど倹約に励まなくてはならない。それでも米国製武器を購入するのは、中国という脅威に直面するなかで、どうしても軍備のクオリティを落とすことができないからだ。

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