再選を断念した梁振英行政長官(左)と、有力候補の「剤爺」こと曽俊華財政官(右)

 

 香港の政局が、ここにきて、一気に動き出した。

 香港のトップである特別行政区行政長官の梁振英氏が、来年3月に行われる行政長官選挙で再選を目指さない意向を12月9日に表明した。もともと続投を目指していたとみられていただけに、突然の態度豹変に、香港は大きくざわめいた。

 梁氏は、北京(中央政府)の意向に忠実に従うタイプで、結果的に2014年の雨傘運動を招く失態を演じた。その後も、香港独立思想を徹底的に排除していくなど強硬派のスタイルによって北京の支持を勝ち取る作戦と見られたが、その思惑が外れて、今年9月の立法会(議会)選挙で本土派の躍進を許すなど、香港情勢の悪化に懸念を抱いた北京から「ダメ出し」された可能性がある。

 香港のウェブメディア『香港01』は、中国から梁氏に対して、出馬を取りやめるように「高いレベル」からの要請が直接あったと報じている。12月2日に、香港問題を中国政府で所管する王光亞・国務院香港マカオ事務弁公室主任が梁氏と面会したときは、再選を支持する考えを伝えていたという。しかし、それからたった数日後、再び、深圳に呼び出された梁氏は、王主任よりも高いレベルの「ある人物」から身を引くよう示唆されたという。だとすれば何か事態の変化があり、北京の梁氏支持の意見がひっくり返ったことになる。

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